フッ素コーティングされたフライパンは、焦げ付きにくく、お手入れが簡単というメリットがあります。
一方で、「フッ素コーティングに使用する物質が危険」といった情報も広まっています。その中でも「PFOA」が話題に上がることが多いです。
この記事では、PFOAとは何か、PFOAフライパンが危険と言われる理由、そして安全性の高いフライパンを紹介します。
PFOAが気になる方や、より安全性の高いフライパンをお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
PFOAとは何かわかりやすく解説します
PFOAは「ピーフォア」と読み、正式名称は『ペルフルオロオクタン酸』です。
PFOAの大きな特徴は、高い耐熱性と耐薬品性です。
高温状態になっても分解されにくく、耐久性のあるコーティングを可能としています。
このようなPFOAの特性を活かし、フライパンのテフロン加工の原料として使われていたほか、食品包装紙、フローリングなどにも利用されていました。
しかし、PFOAは自然環境中で分解されにくく、体内にも蓄積されやすい物質です。そのため、環境や健康に悪い影響を与える可能性があり、問題視されるようになりました。
PFOAフライパンは危険?と言われる理由
「PFOAフライパンは危険」と言われるのは、以下3つの理由が関係しています。
- 健康リスクが高いから
- 高温になると有毒ガスを発生するから
- 環境に悪影響を及ぼすから
それぞれ解説していきます。
①健康リスクが高いから
PFOAが使用されたフライパンが危険と言われるのは、さまざまな健康リスクが報告されているからです。
PFOAは炭素とフッ素が結合しており、非常に安定した化学構造を持っています。そのため、一度体内に入り込むと長期間分解されずに蓄積されていきます。
それにより、免疫系やホルモンバランスの乱れ、コレステロール値の上昇など、健康への影響が報告されています。
さらに、国際がん研究機関(IARC)はPFOAを『ヒトに対して発がん性がある』物質として分類しているので、PFOAフライパンは危険と言われています。
参考:食品安全委員会「PFOA(パーフルオロオクタン酸)及びPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)に対する国際がん研究機関(IARC)の評価結果に関するQ&A」
②高温になると有毒ガスを発生するから
PFOAが含まれるフライパンを高温で調理すると有害なガスが発生し、健康に悪影響を与える可能性があります。
通常の調理温度(約200℃以下)では、PFOA自体がフライパンから溶け出すことはありません。
しかし、360℃以上の高温で加熱されると、PFOAが分解され、有害なガスが発生することがあります。
もしPFOAが含まれたフライパンを使う際は、空焚きを避け、調理時には中火以下で使用するようにしましょう。
③環境に悪影響を及ぼすから
PFOAが含まれるフライパンは、環境中で長期間分解されずに残留するため、環境汚染が懸念されています。
PFOAは非常に安定した化学構造を持っており、POPs(残留性有機汚染物質)と呼ばれる有害物質の一種です。
ヒトの体内で健康被害を引き起こすのと同様に、魚や動物の体内に取り込まれると、生態系全体に悪影響が広がる可能性があります。
さらに、PFOAは水に溶けやすいため、汚染された水を飲むことで人間にも健康リスクが生じるかもしれません。
このように、PFOAを含むフライパンは、廃棄後も環境に悪影響を及ぼす恐れがあります。
日本では、水道水におけるPFOS・PFOAの暫定目標値を50mg/Lと定めています。各地の水道局では徹底した水質管理に取り組んでおり、例えば東京都水道局の場合「国の定める暫定目標値を大幅に下回っており、水道水の安全性を確保しています。」と報告しているので、安心して飲むことができます。
【結論】現在はPFOAが含まれたフライパンはほぼありません
ここまでPFOAフライパンが危険と言われる理由を解説しましたが、現在販売されている多くのフライパンはPFOAを使用していません。
PFOAに対する規制は世界中で強化され、アメリカの環境保護庁(EPA)や欧州連合(EU)はPFOAを含む製品の使用を段階的に廃止しました。
日本でも、2021年10月からPFOAの使用を規制し、現在ではほとんどのフライパンメーカーがPFOAを含まない製品を提供しています。
参考:経済産業省「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました
そのため、古いフライパンや一部の安価な商品に関しては注意が必要ですが、ほとんどの現行製品は安全に使えます。
安全なフライパンの選び方
安全なフライパンを選ぶには、「PFOA・PFOSフリー」と記載された製品を目印に選びましょう。
現在では多くのメーカーで、PFOA・PFOSに代わるノンスティックコーティングを採用しています。
これらの製品は、前述したPFOAフライパンの危険性が少ないため、安全性が高いと言えます。
PFOAが気になる人は鉄製フライパンを選ぶのもおすすめ
さらに安全性と耐久性を求める方には、「鉄製フライパン」がおすすめです。
鉄製フライパンは、有機フッ素化合物といった科学的な物質を一切使っていないため、PFOAやそのほかの有害物質を気にする必要がありません。
PFOAフライパンのように、空焚きや過剰な高温状態にならないように気を遣うこともないので、野菜炒めや揚げ物の調理にも最適です。
そして、当メディアを運営する私たち、岩鉄製株式会社では「ダクタイル」を使ったフライパンを提供しています。
有機フッ素化合物などのコーティング加工を不使用でありながら、特殊技術により焦げ付きにくく、錆びづらいのが特徴です。
多くのお客様から「使いやすい」とご好評をいただいていますので、使いやすい鉄フライパンをお探しの方は「岩鉄鉄器オンラインストア」を一度ご覧ください。
まとめ
PFOAフライパンが危険と言われる理由は、以下の3つでした。
- 健康リスクが高いから
- 高温になると有毒ガスを発生するから
- 環境に悪影響を及ぼすから
PFOAは、かつてフライパンのコーティングに使われていた有機フッ素化合物で、健康リスクや環境問題が指摘されていたことから、危険と言われていました。
しかし、現在はPFOAに関する規制が強化されており、販売されているフライパンの多くはPFOAが含まれていません。ただし、古いフライパンや安価な商品には注意が必要です。
安全なフライパンを選ぶときは、「PFOAフリー」製品や鉄製フライパンを検討してみましょう。
なかでも鉄製フライパンは有害物質を含まず、耐熱温度の高さや半永久ともいえる耐久性が魅力的です。
PFOAの危険性を理解し、自分にあった安全なフライパンを見つけて、毎日の調理に役立ててみてくださいね。