テフロン™がヨーロッパで禁止になっている理由はなぜか解説致します

近年、ヨーロッパで「テフロン™」が禁止されるというニュースが話題になっています。

テフロン™のフライパンは日本で日常的に使われているので、「なぜヨーロッパでは禁止されているの?」と疑問に思いますよね。

この記事では、テフロン™がヨーロッパで禁止されている理由と、日本で禁止されていない理由を解説します

テフロン™がなぜ問題視されているのか知りたい人は、ぜひご覧ください。

目次

テフロン™とは?

本題に入る前に、テフロン™とは何か改めて紹介します。

テフロン™(Teflon)とは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と呼ばれるフッ素樹脂の一種であり、デュポン社(現ケマーズ社)の登録商標です。

1938年に、デュポン社のプランケット博士が偶然見つけたのがきっかけです。

テフロン™の大きな特徴は、以下の3つです。

  • 非粘着性:調理器具に食材がくっつきにくい
  • 耐熱性:約260℃まで使用可能
  • 耐薬品性:多くの化学薬品に対して耐性を持つ

これらの特性を活かし、テフロン™はフライパンや調理器具に広く使われています。

また、工業生産のパフォーマンス向上や、半導体製造、通信用のプレナムケーブルなど、さまざまな業界でも活用されています。

参考:Teflon™「様々な業界で使用されるTeflon™(テフロン™)製品」

テフロン™がヨーロッパで禁止になっている理由

ヨーロッパでは、テフロン™自体が禁止されているわけではなく、テフロン™の製造にかかわる一部の化学物質が規制されています。

その理由には、以下の3つがあります。

  • PFOAの有害性
  • 環境への影響
  • テフロン™に代わる技術の発展

それぞれ解説します。

理由①:PFOAの有害性

テフロン™の製造に使われる化学物質の一つに、PFAS(パーフルオロアルキル化合物)という、有機フッ素化合物の総称があります。

PFASは「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」と言われているほど自然界で分解されにくく、環境や人体に蓄積されやすい物質です。

特にPFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、PFASのなかでも有害性が高いとされ、国際がん研究機関(IARC)は「ヒトに対して発がん性がある」とリスク評価しています。(参考:食品安全委員会「PFOA(パーフルオロオクタン酸)及びPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)に対する国際がん研究機関(IARC)の評価結果に関するQ&A」

ヨーロッパ連合(EU)は、2020年7月4日からPFOAの使用を規制したことで、テフロン™などPFOAを含む製品の製造や販売が大幅に制限されています。

理由②:環境への影響

PFOAを含むPFASは、環境中に放出されると水や土壌に長期間残留し、動物や植物にも悪影響を与えます。

特に、PFASは水に溶けやすい性質もあり、飲料水の汚染が深刻な問題となっています。

このため、ヨーロッパでは飲料水を保護するためにも、厳しい規制が導入されました。

理由③:テフロン™に代わる技術の発展

テフロン™の代わりとなるコーティング技術が急速に発展したことも、ヨーロッパでのテフロン™製品の需要減少を後押ししています。

たとえば、セラミックコーティングやダイヤモンド加工のフライパンは、テフロン™のような焦げ付きにくさを維持しながらも、PFASのような有害物質を含まないため、安全性が高く環境にも優しいとされています。

このような代替技術が普及したこともあり、テフロン™の規制がスムーズに進められました。

【疑問】日本ではテフロン™のフライパンは禁止にならないの?という件について

ヨーロッパで規制が進む一方で、日本では依然としてテフロン™が流通しています。

この違いは、以下3つの理由が考えられます。

  • 日本でのPFAS規制の現状
  • 規制のアプローチの違い
  • 製品メーカーの対応

詳しく見ていきましょう。

日本でのPFAS規制の現状

日本では、PFOAやPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)といった、有害性が高いPFASは規制対象になっています。

しかし、ほかのPFASについては依然として使用が認められています。

そのため、テフロン™製品についても、これらの規制対象外のPFASを使用している場合には、製造・販売が許可されています。

規制のアプローチの違い

ヨーロッパでは「予防原則」に基づき、リスクが完全に解明されていない化学物質に対しても、早めに規制をかける傾向にあります。

一方、日本では、明確な有害性が確認された後に規制が進むため、規制導入が遅れることが多いです。

これにより、PFOAなど一部の有害物質に関しては規制が進んでいるものの、他のPFASを使用した製品はまだ規制対象になっていません。

製品メーカーの対応

日本のメーカーも、PFOAを含まない新しい技術を使用したテフロン™製品を導入しており、安全性が向上しています。

現在、PFOAを含まない製品が主流となっているため、日本では全面的な規制には至っていません。しかし、今後の規制動向によっては変化があるかもしれません。

ヨーロッパでテフロン™が禁止されたのはPFOAが主な要因

ヨーロッパでテフロン™が禁止された理由は、主にPFOAという化学物質が人体や環境に悪影響を与えるためです。

特にヨーロッパでは、環境保護や健康リスクへの意識が高く、これに基づいて厳しい規制が導入されています。

一方、日本では特定のPFASが規制されていますが、PFOAを含まないテフロン™製品は引き続き使用が認められています。

ただし、今後は日本でも環境や健康に対する意識が高まり、さらなる規制が導入される可能性があります。

フライパンや調理器具を選ぶ際には、PFASを含まない製品や、代替技術を用いた安全なコーティングを選び、健康や環境に優しい選択をしてみましょう。

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