インタビュー
「今すごく幸せ」と感じる瞬間が生活の中にあるように——宮地眞理子さんと木村石鹸
ミステリーハンターとして、世界中を旅して周った宮地眞理子さん。さまざまな国の生活を経験した宮地さんにとって「豊かな暮らし」とはどのようなものか、何がそれを支えてくれると思うかをお聞きしました。
ミステリーハンターとして、世界中を旅して周った宮地眞理子さん。さまざまな国の生活を経験した宮地さんにとって「豊かな暮らし」とはどのようなものか、何がそれを支えてくれると思うかをお聞きしました。
TBS系「日立 世界ふしぎ発見!」ミステリーハンターとして、長く活躍されてきた宮地眞理子さん
ミステリーハンターが見た世界の暮らし
——今年の3月30日で、「日立 世界ふしぎ発見!」が38年の歴史に幕を降ろしました。最終回の特番でも、宮地さんのこれまでのご活躍が放送されていましたね。
振り返ると、17年間も関わらせてもらっていました。最初は右も左もわからないままスタートして、とにかくがむしゃらに、その都度体当たりで撮影に臨んでいたのを思い出します。
ただ、最初の年に「トゥルー」という白いミミズのようなものをブラジルで食べたのが話題になって、そこからグイッと方向性は決まっていったような気がしますね(笑)。最終的には70回以上、番組で海外に行かせてもらいました。
https://x.com/fushigi_hakkenP/status/838019140795285505
お茶の間を騒然とさせることも多かった、「世界ふしぎ発見!」での宮地さんの食レポ
——旅の準備はどうされていたんですか?
最初はやっぱり不安で必要そうなものをいろいろ用意しましたが、2回目からはほとんど持っていきませんでした。30分の収録でだいたい2週間行くんですけど、スタッフさんに「何で僕らより荷物少ないの?」っていつも言われてました(笑)。
——電気のないような場所にも行かれてたと思うんですが、それで大丈夫なんですね。
もちろん、日本とは全然環境が違いますし、ホテルでもアメニティが整っていないところだって珍しくありません。だから部屋で足元が汚れないように、ビーチサンダルは欠かさなくなりました。でも、そのくらいかな……。
たぶん、不便でもいいやって思えるようになったんですよね。「あると思ったものがない」というのも話になるじゃないですか。多少不自由しても、何とかなりますし。
——宮地さんみたいなシンプルな旅のスタイル、あこがれます。
あちこち外国に行くと、「シンプルに生きる」って豊かだな、と感じることは多いです。経済的には日本ほど潤っていない国にも行かせていただくんですが、そこに暮らす方々は、みなさん“今”を生きているって感じがすごくして。物理的に裕福かどうかでは測れない、前を向いてシンプルに生きる豊かさがあるんだなと気づいていきました。
——人の暮らしで印象深かった国はありますか?
世界で一番貧しい大統領として有名になった、ホセ・ムヒカさんがいたウルグアイという南米の国です。貧困層も多い国ですが、滞在中いろんな方に「この国に生まれてよかったですか?」と聞いてまわると、全員が「もちろん!」って即答するんです。誰一人、迷うことなくですよ。
もし私が同じ質問をされたとしたら、どうだろうって。一瞬「うん?」て考えちゃうような気がしたんですね。日本もいい国だし、最終的にはイエスと答えるだろうけど、あんなに笑顔で、間髪入れずに返せるかどうか。その違いを考えたいな、と思いました。
“今”を感じる瞬間があることで、豊かになる
——自分の暮らす場所をすぐに「好き」と返せる国とそうでない国、どこが違うんでしょうか?
ひとつ感じるのは、せわしなさですかね。ウルグアイのような国は、みなさん今日を大事にして、「明日のことは明日でいいや」って感じでのんびりしているんです。その空気感は、やっぱり魅力的で。
でも東京に帰ってくると、みんなすごく忙しそうなんですよね。私も「あれ? こんなスピードだったっけ?」と思うぐらい、なかなか馴染めないことがありますし。
——ゆとりがないから、“今”を生きられていない?
かもしれないです。どんどん迫ってくる感じがして。だからモノも、必要以上にたくさんある気がします。でも「本当はそんなにたくさん要らないのに」って思うことありません?
——あります。木村石鹸でもそういう話をよくするんです。「大量生産・大量消費」以外にも豊かになる方法はあるんじゃないの? って……。
それ、伝わって来ますよ。悩みも含めて、率直に発信されてるなぁと共感していました。私も考えることがあるんですが、豊かって難しい。若いときは「あれもこれもたくさん欲しい」と思う自分だっていましたしね。
ただ最近は、「今すごく幸せだな」って感じる瞬間があること自体が、すごく豊かだなと思うようになりました。「ああ、紫陽花の季節だな」「夕陽がきれいだな」「ごはんがおいしいな」とか、何でもいいんですけど、それが目の前に来たときに、きちんと感じている自分でいられること。
——自分の感覚を大切にできているかどうか、ですね。
そう。それって、せわしないと何も見えないじゃないですか。どれだけ急いでいても、歩いている一瞬に「あ、風が気持ちいいな」と感じられる状態でいたい。それができれば、豊かなんだろうなって思います。
——幸せな一瞬を感じられるために、普段の生活でされていることはありますか?
シンプルなものを使うことですかね。例えば自分の体につけるものでも、必要以上にあれこれ使っていないもののほうが心地よさを感じやすいなぁって。あとは自分のためだけじゃなく、周囲にとってやさしいことも意識します。
環境のことにすごく詳しいわけじゃないけど、地球に負荷の少ないものを使う瞬間、「ちょっといいな」って気分になるじゃないですか。かつ、それが自分のお気に入りのアイテムだと、使っているだけで幸せになれる。そういうポイントで、木村石鹸さんのものは何を買っても「合うな」って思えるから、すごくありがたいんです。
木村石鹸に感じる「やさしさ」の正体
——宮地さんは、シャンプーに木村石鹸の『12/JU-NI』を使ってくださってますよね。
Type-B(さらさらタイプ)を愛用しています。もともと油分が多くてべったりしちゃう髪だったんですが、『12/JU-NI』にしてからは、それが全然なくなりました。美容師さんにも、髪の張りがすごくでてきたねって言われて。
ひゅって出して髪につけたときのテクスチャーが、他のシャンプーとは全然違って、すごく柔らかいんですよ。ああ、今日も幸せだなぁって気分になります(笑)。自分にもやさしくしてくれるし、地球にもやさしくしてくれる気がして、すごく好き。
——実際、環境への負荷はかなり意識していて、生分解性(分解されて自然に還る割合)も1週間で90%以上と高い結果が出ているんです。
ええ! 知らなかった。すごいじゃないですか。
——増粘剤のような、直接髪には必要でない成分も入ってないので。
それがきっと、やさしさにも表れてるんですね。
——宮地さんが木村石鹸を知ってくださったのは、「センタクカイギ」が最初のご縁でしたか?
そうそう。なぜか私がファシリテーターに指名されて、トークの場で木村さん(木村祥一郎:木村石鹸 4代目)にお会いしました。他に、今治タオルのイケウチオーガニックさんや、Baluko Laundry PlaceのOKULABさん、洗濯家の中村祐一さんもいらっしゃって。もともと洗濯は好きだったんですけど、基本をいろいろと教えてもらったんです。
例えば、「洗剤もたっぷり入れればいいってわけじゃないよ」とか、「余洗いしたり温かいお湯を使ったりするだけで違うよ」とか。いっぺんに洗おうとせず、分けて洗濯をするのが洋服にいいことなども聞いて、「ちょっと手をかけてあげるのがすごく大事なんだな」って思うようになりました。
——その後、いろいろと木村石鹸のアイテムも使っていただいてると聞きました。
『そこかし粉』(家中の“そこかしこ”で使える酸素系漂白剤)はめちゃくちゃ愛用してます。5パックはあるんじゃないかな(笑)。
——うわぁ、そんなに!うれしいです。
あとは『洗い流しのいらない洗面台クリーナー』。あれもすごい気に入ってます。「それ欲しかったんだよな」ってものを木村石鹸さんはつくってくれるんですよ。
だからよくチェックはしていて、新しいものが出たら使ってみるようにしています。友達にも時々プレゼントするけど、みんな喜んでくれますしね。
当たり前の日常を、もっと楽しめるように
——なぜそこまで応援してくださるんですか?
やっぱり、使っていてどれも気持ちがいいからだと思います。さっきも言ったように、自分にも周りにもやさしい感じがすごくする。香りの成分もですけど、必要以上に“足してない”ところがいいなぁって思うんです。
パッケージデザインもシンプルだから、その辺にぽんと置いてあっても変じゃないし。インテリアにもなじむというか、暮らしにとけ込んでくれる感じがしますよね。
——「シンプルに生きる豊かさに気づいた」とおっしゃる宮地さんに、そこを評価いただけるのはうれしいです。あちこち海外で、刺激的なものもいっぱい見られているとは思うんですが。
よく「いろんな経験をしてきたから、もう日本の生活はつまらないんじゃないの?」と言われるんです。けど、そんなことは一切なくて。むしろ刺激的なものを見て戻ってきたあとに、日本に普通にある景色の美しさとか、目の前の暮らしにある良さに気づくことが増えました。
——日常の見え方が変わるんですね。
「日本ってこういうところがあるよね」って、海外の人からいろいろ教えてもらえますしね。確かにどこに行っても、みんなすごく丁寧で、サービスもきっちりしてます。それは、日本の中にいたらあんまり気づかないかも。
ああでも、もうちょっと楽しく働けるといいのかなって思うことはありますね。外国だと、バルで働くおじさんも、空港にいる税関の人も、みんなすごく楽しそうに話しながら仕事しているんです。あれが私すごく好きで(笑)。
——あ、ちょっとわかります。人と人との距離が近い。
そうそう、アットホームというか。でも、木村石鹸さんの場合は私、楽しそうに働かれてるなって思ってますよ。みなさんのびのびしてるなぁ、それが伝わってくるのがいいなぁって。
送られてくる商品にも、お手紙が入ってたり、なぜかお菓子が入ってたりしてキュンとくる(笑)。「これ友達からの荷物だっけ?」みたいになるんですけど、そこがほっこりしますし。それで毎日のお風呂とか洗濯が楽しくなるんだから、ああ、幸せだなぁって思っちゃいます。
宮地眞理子(みやち・まりこ)
女優・タレント。2004年~TBS「世界ふしぎ発見!」ミステリーハンターとして活躍。映画、ドラマなど多方面で活躍。NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』『カウントダウン篤姫』『笑ってうたってしあわせ家族』などに出演。その他、2016年~SBS「静岡発そこ知り」、2008年~MBS「住人十色」訪問者などにレギュラー出演中。著書「地球のふしぎを歩こう」(PHP文庫)ではミステリーハンターとしてこれまで旅した数々の国での驚きや感動を文庫化。
執筆:佐々木将史/写真撮影:矢部志保